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ジュリエット・ビノシュ インタビュー / INTERVIEW de Juliette Binoche

J’aime toujours revenir au Japon pour plein de raisons différentes.
日本には、いろいろな理由でまた戻ってきたくなるんです。

「フランスを代表する女優、ジュリエット・ビノシュが語る、“愛を踊る”初のドキュメンタリーと日本への想い」

ジュリエット・ビノシュが振付師アクラム・カーンとともに、14年前に世界で公演を行った舞台『In-i(イン・アイ)』。その舞台の創作過程を描いたドキュメンタリーが、東京国際映画祭2025で上映され、ジュリエット・ビノシュが来日した。
創作の原点、日本との出会い、そして“愛”のかたちを語ってくれた。

ジュリエット・ビノシュ

『In-I in Motion 』 フランス映画2025 © 2025 MIAO PRODUCTIONS

ジュリエット・ビノシュからフランス語学習者へのメッセージ
🎬Q : これで日本に来られるのは何回目ですか?

もうずいぶん前から、いろんな機会で何度も来ているんで分かりませんが、最初は『汚れた血(Mauvais Sang)』のときでしたね。1986年、そう、前の世紀ですよ(笑)。

🇯🇵Q : 日本の印象は?

日本には、いろいろな理由でまた戻ってきたくなるんです。
まず、日本には特別な思い入れがあるんです。ここで撮影をしたこともありますし、友人もいます。それに、日本の文化や食べ物、そして日本の人たちの品のあるたたずまいが本当に好きなんです。日本には、他の国ではなかなか見られないような“敬意”があると思います。人との接し方とか、相手の話の聞き方、お礼の言い方……そういうところに、自然で優しい思いやりが感じられるんですよね。そこには、いつも日本ならではのしとやかさというか、心のこもった品格があると思います。
それから、日本の映画監督の方々をすごく尊敬しています。是枝裕和さんとか、黒沢清さん、河瀬直美さん……本当に素晴らしい監督が多いですよね。それに過去にも、小津安二郎さん、黒澤明さん、溝口健二さんのような方たちがいて。ああいう監督たちは唯一無二の存在ですし、そうした映画作家・監督を持つ日本は本当に宝物のような国だと思います。

🍣Q :好きな日本のお料理はありますか?

ええ、たくさんあります。日本の食べ物のすばらしいところは、いくら食べても最後にはいつもすごく気分がいいということなんです。というのも……日本の料理は健康的で、重たくなくて、本当に体にいいんです。そこが日本食ならではの特別なところですね。

🎭Q : 女優としてのキャリアは、どのように始まったのですか?

何で始めたかって?(笑)
実は、最初は“学校の校庭”だったんです。
遊びの延長のように演じることが、現実から少し離れて自分の世界をつくる方法でした。 演じることは、未来への準備でもあったんです。遊ぶたびに、いつも心から楽しくて──
その喜びがあったからこそ、“このまま続けたい”と思いました。そして、演技を通して自分の心の中にあるもの、経験したことを表現できるというのは、とても特別で幸せなことだと思います。

🎬Q : このドキュメンタリーを公演から14年経ってから、なぜ撮ろうと思ったのですか?

舞台のツアーが終わったあと、すぐに別の撮影が始まって、そのままずっと仕事が途切れずに続いていたんです。だから、なかなか立ち止まる時間がなかったんです。そんな中で、2年ほど前に二人の方が私のところに来てくださって、“何かやりたいプロジェクトはありますか?”と聞かれたんです。私は“実はあの時の映像(カセット)があるの”と話したら、“じゃあ、それをやりましょう!”って言ってくれて。そんな流れでこのドキュメンタリーが動き出したんです。時間がかかったのは、私自身ずっと撮影で忙しかったこと、そして、新しい形で一緒に何かをつくろうという人たちと出会う機会をようやく得られたからなんです。

❤️「Q : あなたにとって「愛」とは何でしょうか? この作品のテーマでもありますよね?

ええ、そうなんです。
そう、この作品のテーマ──それは“愛”という問いなんです。
“愛”そのものというよりも、“愛とは何か”という問い、あるいはいくつもの問いなんですよね。でも、結局のところ、愛ってすべてなんです。すべてが愛。人生も愛だし、自然も愛。
“愛”というのは、生が私たちに与えてくれる大いなる寛大さの表現なんだと思います。

ジュリエット・ビノシュ(Juliette BINOCHE) プロフィール

ジュリエット・ビノシュ

1964年3月9日フランス、パリ生まれ。
俳優・演出家の父と女優の母の間に生まれる。両親が4歳のときに離婚したため、ビノシュはそれぞれの親とカトリックの寄宿学校の間を行き来して育つ。寂しさを紛らわすために演劇を始め、フランス国立高等演劇学校で演技を学び、12歳で舞台に立つ。以後、TVや舞台で活動を続け、巨匠ジャン=リュック・ゴダール監督の『ゴダールのマリア』(84)で注目され、アンドレ・テシネ監督の『ランデヴー』(85)でセザール賞にノミネート。そして、クシシュトフ・キェシロフスキ監督の『トリコロール/青の愛 』(93)でセザール賞、ヴェネチア国際映画祭女優賞を受賞。さらに、アンソニー・ミンゲラ監督の『イングリッシュ・ペイシェント』(96)でアカデミー助演女優賞に輝き、続く『トスカーナの贋作』(10)で第63回カンヌ国際映画祭の女優賞を受賞。その他の出演作は『ショコラ』(00)、『シェフと素顔と、おいしい時間』(02)、『隠された記憶』(05)、『PARIS』(08)、『ホウ・シャオシェンのレッド・バルーン』(07)、『GODZILLA ゴジラ』(14)『アクトレス~女たちの舞台~』(14)、『ポトフ 美食家と料理人』(23)など。 私生活では、1993年にスキューバダイバーの男性との間に男子を出産。1999年に『年下のひと』で共演したブノワ・マジメルとの間の女児を授かる。

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